LOVEPAIN⑦シリーズ全完結しました
普段なら、そんな成瀬の呼び出しなんか無視したかもしれない。


私はナツキを大切にすると、決めたのだから。



けど、さっき電話口で聞いた成瀬の声が。



今まで聞いた事がないくらいに、
苦しそうだったから。



だから、成瀬の事を無視出来ない。




「ナツキ、お願い。
私を信じて。
すぐ戻って来るから!
成瀬さんが、心配なの!」


私はナツキの手を掴み、懇願するけど、
ナツキは私のその手を振り払った。


「広子は、自分がそうやって人に信じて貰える人間だと思ってんの?」


そう言われ、これ以上信じて欲しいとは言えなかった。


私は今まで、ナツキに対して誠実じゃ無かったから。


私はソファーから立ち上がり、
寝室とは別の部屋へと入った。


クローゼットから、紺のピーコートを取り出した。


此処は元々須田が使っていた部屋で、
現在、私の私物置きにしていた。


その紺のピーコートを羽織る。


このピーコートは、元々はナツキの物で、
今年まだコートを買えていない私に、
ナツキがくれた物。


コートを羽織ると、ほんのりと残っているナツキの香水の匂いがする。


その匂いを感じると、私はナツキを裏切らないと、
そう思った。


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