政略夫婦の愛滾る情夜~冷徹御曹司は独占欲に火を灯す~
 画面には、弟からのSNSが表示されている。

『紗空、俺、留学やめてこっちの大学にするよ』

「え?」

 弟の葵生(あおい)は、来年アメリカの大学に留学する事になっていて、葵生が住むことになる住まいの手筈をアメリカ在住の友人に頼んでいる。

 断るのは簡単だけれど、行く気満々だった弟の心変わりが気になる。文章ではらちが明かないし、時間は遅かったけれど葵生に直接電話をかけた。

『あ、紗空、ごめんな遅い時間に』

「平気よ。それよりどうしたの? 何があったの?」

『ん? うん……」

 口ごもる葵生を説得して聞き出した話は、一瞬で私を絶望の底に突き落とした。

「なんですって」

 両親が不動産会社の経営を任せていた男が会社の金を使い込み、気が付けば会社名義で所有していた不動産を担保に借金までされていたのだという。

『留学はあきらめようかと思う。親父もお袋も農地があるからまた畑を耕して生きてくだけだぁと言っているけど。相手を信じていただけに、相当ショックを受けてるよ』
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