政略夫婦の愛滾る情夜~冷徹御曹司は独占欲に火を灯す~
「……はい」

 ソファーに浅くそっと腰を下ろした。

「予定の変更は上手くいったよ。だからもう大丈夫だ」

「――そうですか。よかったです」

「それに、うちはアフリカにもアラスカにも女性を送る予定はない」

 そう言って、専務は身を乗り出した。

「で、何があった? 最近顔色が悪いし、何かあったんだろう?」

「い、いえ、別になにも」

「そうか。致命的なミスを犯すほどの悩みがあるのに、上司に打ち明けられないほど、そんなに秘密主義なら……ここは厳しく」

(えっ! それは)

「わ、わかりました! 話します」

 弟から聞いた話をかいつまんで話した。実家の事業がうまくいっていないようだと。

 ところが専務は逐一質問してくる。

「どういうふうに?」

「えっと……」

 結局は全て。両親が財産を詐取された話から弟の留学費用のことまで、何もかもを話した。

「事情はわかった」と頷いた専務は、よく聞いてと手を伸ばし、私の手をとった。

 ――あ……。
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