政略夫婦の愛滾る情夜~冷徹御曹司は独占欲に火を灯す~
 専務の手は温かくて優しい。長い指に包みこまれて心までもが温かくなってくるようだ。

「まず君の弟の留学費用については、うちの財団が扱っている給付型の奨学金があるからそれを紹介する。成績にもよるが留学用のそれなりの金額のものがあったはずだ。それでいいか?」

「あ、は、はいっ! 弟は私より優秀なので大丈夫かと思います」

 うんうんと、専務は満足気にうなずいた。

「次は一千万だ。社内貸付金制度という手段もあるが君の場合勤務年数が短いので条件的に一千万は無理だろう」

(そうなのね。一千万は無理としても、少しでも利用できるなら)

 言ってみるものだと感激していると、専務はふっと口元を歪めた。

「そこでだ。その件については俺に全てを任せ、俺が君に直接融資をしよう」

「えっ、で、でもそれでは……」

「無条件とは言わない。条件として、全額返し終わるまで君はここで働く。そして西園寺ホールディングス行きをあきらめるという条件でどうかな?」

(ん?)

 突然の話に頭が追いつかない。
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