王子と姫の狂おしい愛
そして椿姫は琥珀を連れ、屋敷に帰ってきた。

「椿姫様!?」
「椿姫!?」
二階堂や両親が、椿姫の元に駆けつける。

「椿姫!?ぼろぼろじゃない!?怪我は?
まさか、琥珀さんが!?」
「違います!琥珀は、無茶をした私を助けてくれました。お父様、お母様、お礼を言ってください」
椿姫は何かを決意したような硬い表情で、まっすぐ両親を見て言った。

「琥珀くん、ありがとう…娘がご迷惑をかけたね」
春樹が琥珀の肩に手を置き、頭を下げた。
「彩姫子、君からも言いなさい。
琥珀くんのお陰だろ?」
「………琥珀さん、助かったわ」

「いえ……“婚約者”として、当然です」

「お父様、お母様」
「何?」
「私に、ここを出て一人暮らしする許可を下さい。
自分で自立して、普通に琥珀と結婚します!」
「椿姫?なに言ってんの?」
琥珀もこのことは、初耳だ。

「あ…どう、して…?
椿姫……家を出るってどうゆうこと…!?」
彩姫子は、あまりの衝撃に声を震わせて言った。
「椿姫…それは、さすがにパパもすぐには許可できないよ。ちゃんと話し合おう」
「ダメよ!!そんなの許さないわ!
椿姫が私から離れるなんて……しかも、一人暮らし…?冗談じゃないわ!?」
狼狽している、彩姫子。

「お母様が、私と琥珀を引き離そうとするからです。だったら、私にも考えがあります」
対して椿姫は、まっすぐ彩姫子を見て言った。

「椿姫…わかったわ!もう婚約解消なんて言わないから……お願い!家を出るなんて言わないで?
今まで言ってた通り、琥珀さんが落ち着いたら、結婚認めるから!
だからそれまで、傍にいて?
お願い…椿姫……」
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