王子と姫の狂おしい愛
「ねぇ…あれ、王子じゃない?」
「嘘…ヤバい……カッコいい…!!」
「素敵…!」

店の入口に琥珀がいた。
横に井高と、川下を連れて。
「え…?琥珀…?」
琥珀と椿姫の目が合う。

まっすぐ椿姫の元に向かう、琥珀。
「椿姫、帰ろう!」
「どう、して…?」
「椿姫の居場所なんて簡単にわかる。
俺を甘く見すぎだよ?
早く、帰るよ!
言っとくけど、俺は怒ってるんだからね!」
琥珀の目が鋭く椿姫を捉えていた。
椿姫の腕をガシッと掴み引っ張る。

「琥珀様、やめて下さい!
椿姫様は今、ご友人とお話し中です。
もう少しお待ちください」
「は?お前の言うことなんか聞かない!
この世界に、俺に指図できる人間はいないんだよ!?」
「琥珀様は、椿姫様の顔をちゃんとまっすぐ見えてますか?」
「は?」
「とても辛そうにされてます。
そんな顔させていいんですか?
僕が言ってるのは、そうゆうことです。
ご友人とのランチが終わりましたら、ちゃんと琥珀様のお宅へお送りします。
それまでお待ちください」
「琥珀、ちゃんと会いに行くから」
「………わかった」
椿姫の辛そうな顔を見た琥珀はそう言って、踵をかえした。

小夜達とのランチ後、琥珀の元に向かう途中の車内。
「二階堂」
「はい」
「琥珀の執着がどんどん強くなってるの……
私のせいで……。
じゃないと、今日みたいなこと琥珀がするわけない」
「そうですね。でも奥様のお許しがないと、結婚は難しいですよ」
「そうね。どうしてお母様は、そんなに琥珀を嫌うのかな?どうすればいいのかな?私……」
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