意地悪な部長と私
目を覚ますと、真っ白な天井が見えた。


あれ?私、死んだんじゃ…

生きてる?死んでないの?


ボーッとしている頭でも、生きていることに安心した。


そして手の温もり

握られている感覚。


横を向いてみると


「部長…」


部長が泣きながら私の手を握っていてくれた。


「相原!」

「部長…!」


あぁ、また貴方に抱きしめてもらえた。

この暖かい感じ、幸せだ。


「ごめんなさい」

「バカ野郎」

「はい。私はバカ野郎です」

「勝手にいなくなるな」

「すみません」


私はやっぱり、部長がいないと生きていけない。

死んでも死にきれない。


この温もりを手放すことなんてできない。


「あとでゆっくり説明してもらうからな」

「………はい」


私の返事を聞いたあと、部長は先生を呼びに行った。


言わなきゃいけないんだよね。

守りたかった。

でも、守ってもらいたかったのも事実。


何度助けてと願ったことか。


部長に抱きしめられたとき、すごく安心したのを覚えている。

もう大丈夫だって。
< 123 / 144 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop