白猫王子と俺様黒猫~猫神の嫁なんてお断りですっ!~
 ――あーあ、でもそのうち家に帰ってくるんだよね、あのふたり。

 そう考えると、やっぱり憂鬱な気持ちは完全には消えない。
 
 私に平穏な日常は戻ってくるんだろうか……。

 そんなことを考えながら、自宅である猫屋敷神社の鳥居をくぐり、境内の中を歩く私。

 ――すると。


「あれ……? 佐助?」


 石柱の傍らで、茶トラの子猫がちょこんと座っていたので、私は声をかける。

 佐助は少し前に近くで捨てられていて、うちで保護した子猫だ。

 いつもは一緒に保護した兄弟猫の喜助と、元気そうに一緒に遊んでいる。

 だけど今日は喜助の姿もないし、おとなしく座っているので不思議に思った。

 なんだか元気がないような……?

 そう思っていると、買い物帰りらしくエコバッグを手から下げたお母さんが、境内に入ってきた。


「枝乃、もう帰ってたの? お帰りー」

「あ、うん。お母さんもお帰り」

「そういえば、今日白亜くんも黒霧くんも学校にいたでしょ~? びっくりしたんじゃない? 朝、私が言う前に枝乃は学校に行っちゃったから」

「ああ……。そうだね、驚いたよもう……」


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