LOVEDOUBT ホスト×女子高生


「俺のせいって?」


ナツキの声が耳に届いて、
段々と冷静になって来た


冷静になって来たら、
涙も止まる


掴んでいたナツキのスーツから、
すぐに手を離した




「ごめん。
ただの八つ当たり。
ナツキは悪くないから。

私、帰る」


踵を返しナツキに背を向けようとした瞬間、

グッと腕を掴まれた




「もしかして、未央ちゃんって、
安達由利亜(アダチユリア)さんの娘?

気付くと、よく似てる」


ナツキは私の母親似の顔を、
確信を得たように見ている


先ほどの、私がアイドルの誰々に似ていると言う時よりも、
もっと強く




「うん…。

本当に、ごめん。
私酔ってて、ナツキのせいにして」



ナツキのせいじゃない


私が今辛いのは、
ナツキのせいじゃない





「俺に会ってどうしたかったの?
何か訊きたい事でもあった?」



「ただ、どんな男か見たかった…」



母親が夢中になった男


母親が大金をつぎ込んだ男



私の家族が完全に壊れる切っ掛けになった男




「もし、私がナツキと関係でも持ったら面白いんじゃないかって。

父親も、嫁だけじゃなく娘迄も同じホストに、って。

母親は自分が入れ込んだホストが娘とって、
嫉妬に狂うんじゃないかって」



きっと、私はすっごく酔ってる


酔ってるからこんな事を口にしてしまう




「たしかに、そうなれば面白いね」


妖艶に笑うその顔に、
戸惑ってしまう


自分から吹っ掛けておいて、あれだけど



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