オフィスの華(令和版)Episode.0~スノードロップ~
耶刃さんは栗原さんを甘く見ていた。

午前様の耶刃さんは隣のベットで眠ってしまった。
その間に、仲居さんが彼に頼まれた朝食を運んできた。

私は窓辺のチェアに腰を下ろして、朝食を食す。

朝靄のかかった山並み。
頂には薄っすら雪が積もっていた。

「只今…部長」

栗原さんが朝食から戻って来た。

「もう起きてるの?寝てなくていいの?小畑さん」

「…熱も下がりましたので…」

私は窓の方に顔を遣って、背中で応える。
彼の顔なんて見たくない。

彼は私の前の椅子に腰を下ろす。

「貴方ね…」

「・・・怒った顔も素敵だね…奈央さん」

「気安く呼ばないでよ…」



< 38 / 96 >

この作品をシェア

pagetop