オフィスの華(令和版)Episode.0~スノードロップ~
「へぇー…こんな便利な機能…コピー機にあったんだな」
彼はソーターとスケープル機能を知らなかったらしい。

「ちゃんと訊けば、教えてあげるのに…」
「訊けば、良かったですね…」

「あ…そうだお礼に缶コーヒー奢ります」

「結構よ…私もデスクに戻ります…」
彼の資料作りを終え、デスク戻ろうとする私の腕を掴んだ。

「そう言わずに…」と言うと、また顔を背けて咳込んだ。

彼に咳をされるとあの時のコトを思い出して、カラダが疼く。

「ほら…」

また、強引にフロアから連れ出された。

耶刃さんは会議中で不在。

十一月の下旬に差し掛かる。

「仕事には慣れました?」

「…大学病院は色んな人混じってるからね…診察する人…研究する人…常に最新の情報を手に入れて…相手に興味を惹かせないと…講演会を企画したのは初めてだけど…どうなるコトやら…」

彼は咳をしながら缶コーヒーを啜った。

「その風邪・・・伝染させたの私よね・・・」
「だろうね…いっぱいキスしたから」

「・・・栗原さん!?」

「…君を狙ってる男は社内に沢山居る…ほら、総務課の仲代課長だって…男はキレイで若い子がダイスキだからね…俺は上手く隙を付いただけだ。あんなコトされたくなければ…俺に隙を見せないコトだ。小畑さん」


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