オフィスの華(令和版）Episode.０~スノードロップ~

「栗原…お前・・・」

・・・本気で奈央のコトを…

俺を刺したあの男の顔には見覚えある。

栗原が見せた写真のオトコ…奈央のストーカーの佐藤だ。

佐藤は奈央に愛情を向け、恋人である俺には憎悪を向けたのだ。

そして、栗原も…

心臓の拍動が上がり、息をする度に激痛が走る。



「動かないで下さい…部長」

ようやくヤツは俺に寄り添い、ゆっくりとアスファルトの上に仰向けに寝かせてた。
ヤツはスマートフォンを手に取り、救急車を呼ぶ。
「こちら、日本橋・・・至急救急車の手配お願いします。人が刺され、右胸部刺傷。外傷性気胸可能性有り、意識ㇾベルも下がっています・・・」

水が大量に肺の中に入り込んだかように、益々息苦しさが増していく。意識も遠のく。
俺はこのまま死んで逝くのか？なぁ、栗原。
俺は渾身の力でヤツの腕を掴んだ。
「助け・・・て・・・」

「大丈夫です、部長。俺が助けます…」

栗原はそう言って、俺の手を握って励ましてくれた。

でも、どんどんカラダが寒くなり、意識はとうとう遮断してしまった。

――――このまま…逝ってしまったら、二度と奈央には会えない。