竜王様、ご飯の時間です and more ! 〜竜王様と転生メイドのその後〜
 適当に探して歩いていると、ちょうど厨房のあたりでウィスタリアさんと出会えました。
「ウィスタリアさん! 私のカバンはどこにありますか? お仕着せも、また支給して欲しいです」
「あら。まだお部屋に届いていませんでしたか?」
 少し驚いた顔を見せるウィスタリアさんだけど、驚いたのはこっちだわ。ウィスタリアさんってこんな話し方だったっけ? いや、元々丁寧ではあったけど、なんか違うというか。
 ウィスタリアさんの口調に若干の違和感を覚えたけど、そんなことよりカバンとお仕着せです。
「ありませんでした」
「そうですか……。確かにお届けしたという報告をもらったのですが……」
 ウィスタリアさんは困惑しています。すでに他のメイドさんが持っていってくれていたようですね。でもさっき、部屋にはなかったしなぁ。
「もしかしたら入れ違いになっちゃったのかも」
「私も確認しておりませんので、よろしければお部屋までご一緒させていただきます」
 やっぱりウィスタリアさんの話し方おかしい。しかも私の部屋までわざわざ付いてきて、カバンがあるかどうかなんて確認するかな?
「? いえ、そこまでしていただかなくても」
「ついでにお部屋のご説明もさせていただきますわ」
「部屋の説明!?」
 え? 以前使ってた部屋に説明もクソもあるもんなの!? ベッドがあって、こぢんまりとしたチェストがあるだけのシンプルなお部屋だけど!?
「はい。では、参りましょうか」
「え? え?」
 私が戸惑っているうちに、ウィスタリアさんは歩き出してしまいました。


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