竜王様、ご飯の時間です and more ! 〜竜王様と転生メイドのその後〜
 都とその周辺はすぐに捜索できたけど、離れたところにはなかなか捜索隊を派遣することができなかったそうです。いや、そんな捜索隊とか寄越されたら、今度こそ逮捕かとマジでビビりますけど。そこで、ひょっとしたら何か私が連絡してくるかもしれないと考えて、モーヴさんのお店、『ティア・モーヴ』に騎士を張り込ませていたそうです。
 粘り強〜く張り込んだ、ある日のこと。
『あ、この味、あの店の味と似てるなぁ』
 と、話しているお客さんをキャッチできたそうで、すぐさま捕まえ……ではなく、任意でお話を聞いたら、海の町のあのお店が出てきたそうなんです。急いで使いを派遣して確認したところ、私を見つけた。というのがことの顛末だそうです。
「なんかお手を煩わせました」
「本当だ。余は忙しい」
 じろっと睨まれましたが、これは理不尽ですよ! 私、探してくれなんて言ってないんですけど? むしろ見つけられないように逃げてたんだし。
 でもこうして探してくれて、迎えに来てくれたのは、正直嬉しいです。

「お手を煩わせているついでといってはなんですが——」
「なんだ?」
「帰り道、モーヴさんのお店に立ち寄ってもいいですか?」
「なぜだ?」
「心配をかけたままなので、ひとこと元気だということを伝えたくて」
 それと、結局捕まっちゃいました、ということをね。
「——いいだろう」
「ありがとうございます」

 安心させにいくのか、さらに心配をかけにいくのか。とにかく帰り道、『ティア・モーヴ』に寄っていくことになりました。
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