地味同盟〜地味男はイケメン元総長〜
 モロバレだったらしい。

 こうなったらもう直接聞いてやる。


 声に出したい気持ちではあったけれど、ここでそんなことをすれば皆に聞こえてしまう。

 あたしもノートの端を使って日高くんに見せた。


『どうしてキス何てしたの!?』

『ご褒美って言っただろ?』

『だから、どうしてあれがご褒美になるの? もしかしてあたしをからかって楽しんでる!?』

『まあ、それも間違っちゃいねぇな』


 やっぱりからかって楽しんでたのか!?


 腹立たしくて頬を引きつらせていると、日高くんはもう一言続けて書き足した。


『でも、本気だ』


 本気?
 本気でからかってるってこと?


 訳が分からなくて彼の顔を見ると、そこにはからかいの色は無くとても真面目な表情。


 からかってるわけじゃない?

 でもそれなら本気って、何が?


 考えても分からない。

 それなのに日高くんは真剣に見つめて来る。

 だからあたしは。

「ごめん、ちょっとトイレ」

 その視線に耐えきれなくて、逃げた。
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