地味同盟〜地味男はイケメン元総長〜
「お、来た来た。ちゃんと見張ってるからしっかりメイクしなよ?」

 先に空き教室で待っていたのは沙良ちゃんだ。

 万が一にでもメイクしているところを見られたら驚きが半減だからと、良く分からない理屈から彼女は見張り役を買って出た。

 まあ、ただでさえ授業には間に合わないんだから邪魔は入らない方が良いんだけれど。


 先生には朝の時点であたしと沙良ちゃんは遅れると伝えてある。

 でも美智留ちゃんのプレゼンが始まる頃には教室の前まで着いておかないと。


 予鈴はもう鳴ってしまった。

 HRが始まるまで五分もない。

 始まって美智留ちゃんが話し始める時間を考えると、せいぜい十五分。


 髪型はお昼休みに美智留ちゃんがセットしてくれていたから、あとは本当にメイクだけだ。

 ギリギリ出来るかな? という時間。


 だからあたしは沙良ちゃんの横を通り過ぎ空き教室に入ると、すぐにメイク道具を並べてメイクアップを始めた。
< 406 / 600 >

この作品をシェア

pagetop