地味同盟〜地味男はイケメン元総長〜
「そう言われても……」

「俺は自慢してぇけど?」

 そう言って、いつもの様に繋いでいる手を持ち上げられて手の甲にキスをされた。


「俺の彼女は人気者になるくれぇ魅力的な女だってな」

「っっっ!?」

 そんな風に言われてしまったらもう否定なんて出来ないじゃない。

 陸斗の自慢の彼女。

 そうなれるのは、とても嬉しい事で……。

 その誘惑に逆らえそうにない。


「……ずるい、陸斗」

「何が?」

「そんな風に言われたら、もう信じられないなんて言えないじゃない」

 言い終えると同時に、抱きしめられた。


「っえ? り、陸斗?」

 突然の行動に驚いているあたしの耳に陸斗の響く声が直接届く。

「……ずりぃのはお前だ。ったく、可愛すぎだろ」

 理不尽に非難されたけれど、近すぎる声にドッドッドッと心臓が鳴っていて怒るどころじゃない。
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