地味同盟〜地味男はイケメン元総長〜
 すると今度は花田くんが小林くんに視線を向けた。

「で? そっちはどうなってんのかな?」

「は?」

 花田くんの質問は勿論小林くんと沙良ちゃんの事だ。

 突然振られて答えれないでいる小林くんに代わって、沙良ちゃんがあっさりと答えた。


「ああ、うん。付き合うことになったよ?」

 やけにサラッと言ってのける沙良ちゃんに不安になる。

 きっとみんなも思っただろう。


 ちゃんと恋心自覚して付き合うことにしたの!?


 と。

 沙良ちゃんの普段と変わらない様子に、自覚してなくて取りあえず何となく付き合うことにしたんじゃあ……と考えてしまう。


「ね、ねぇ沙良? それってちゃんと好きだと思って付き合ってるんだよね?」

 あたし達の思いを美智留ちゃんが代表して口にしてくれた。

 でも沙良ちゃんはどこまでも軽くて……。

「そりゃあ、勿論好きだけど?」

「友達の好きじゃないんだよ?」

 続けて聞く美智留ちゃん。
 でも分かる。

 沙良ちゃんの様子を見ると“好き”の違いをちゃんと分かっているのか不安になるから。
< 576 / 600 >

この作品をシェア

pagetop