桃色溺愛婚 〜強面御曹司は強情妻を溺愛し過ぎて止まらない〜
鵜方先生は私の病気を診るだけでなく、父の相談相手になってくれていたりもする。そんな父は彼を信頼して何かと物を送りつけたがるのだけど……
「あーんな高価なマッサージチェアに座っている方が、緊張で全身筋肉痛になってしまいそうだよ。どうせなら安物の方が遠慮なく使えるのに」
「……その性格も変わりませんね、そういうところが鵜方先生らしいです」
呆れたように言えば、鵜方先生は困ったように笑ってみせた。だからと言って安物だと贈っても、この人がなかなか使いたがらないのを私は知っている。
「そういう杏凛も新婚生活をが始まったのに、面白いほどいつも通りだね。少しくらい浮かれたっていいだろうに」
そんな浮かれる理由なんて無い、私と匡介さんはたった三年の契約結婚。私たち二人を繋ぐのは、愛情や信頼ではなく判の押された契約書だけ。
その事は鵜方先生にも何度も伝えたのに、彼はこの結婚が決まってから何度も私にこんな話をしてくるの。
「どうせ浮かれているのが似合う可愛い女ではないので。そんな事は先生の素敵な彼女にでも頼んでください」
「はは、それを見たいのは僕ではないんだけどねえ。まあ、頑張るしかないよ鏡谷さん?」
急に話を振られて、鵜方先生の隣に立っていた匡介さんはゴホッゴホッと咳き込んだ。匡介さんは喉を押さえながら鵜方先生を睨むけど、睨まれた先生はいつものように笑って誤魔化すの。
結局……いつもこうやって皆を上手く丸め込んでしまう、そんな鵜方先生には勝てそうにない。