桃色溺愛婚 〜強面御曹司は強情妻を溺愛し過ぎて止まらない〜


 そんなこと出来るわけないのでは……? だって今日出掛ける事も、それに匡介(きょうすけ)さんがついて来ることも事前に決まっていた事ではない。それなのに彼は事前に鵜方(うがた)先生に連絡をしていたなんて。
 
「ああ。鏡谷(かがみや)さんは僕のスケジュールを聞いて、最初からその近くに出掛けると言っていたからね。ふふ、随分過保護な旦那さんに捕まったみたいだねえ、君は」

 鵜方先生はそうやって楽しそうに話すけれど、後ろにいる匡介さんの表情は怖くて見ることが出来ない。この事が本当なのか確かめたいけれど、流石に本人には聞けそうも無くて……

「鵜方先生、その時匡介さんはなんて……」

「それでどうなんですか、鵜方先生? 今の妻の状態は」

 私がもう少しだけ鵜方先生に話を聞こうとするのを、黙って様子を見ていたはずの匡介さんが割り込んで止めた。まるで私達の会話を邪魔するみたいに……

「ああ、もう心配はなさそうだね。ただ少し寝不足と疲れがあるみたいだから、今日は早く帰ってゆっくり休ませてあげて?」

 もう一度私の顔色を確認した鵜方先生は、立ち上がると肩をゴキゴキと鳴らして見せる。その優しい彼の容姿にはあまり似合わない音だけど。

「相変わらずすごい音がしますね? 父がマッサージチェアを鵜方先生に贈ったと言ってましたが、それは役に立ちませんでしたか?」


< 45 / 250 >

この作品をシェア

pagetop