桃色溺愛婚 〜強面御曹司は強情妻を溺愛し過ぎて止まらない〜
「匡介さんにとって私は、もの凄く迷惑な存在だったんじゃないんですか?」
薄々気づいてはいた、気付けないままでいる方が無理だった。不愛想でありながらも私を気遣い優しくしてくれる匡介さんにずっと甘えてしまっていただけ。
お荷物でしかない契約妻、それでも匡介さんにもこの結婚に何かメリットがあるのかもしれない。そう思う事で誤魔化してきたけれど、やっぱり本当は……
「なぜそうなる? 時々思うんだが、杏凛は俺の言葉を大きく取り違えているんじゃないか?」
私が匡介さんの言葉を取り違えてる? いいえ、そんなはずは無いわ。私はちゃんと匡介さんの言っている事を理解してるつもりだった。
「いつも俺が言いたい事の半分も、君にはちゃんと伝わっていないような気がしている」
「匡介さんの言いたいこと、ですか?」
普段の匡介さんはお喋りという訳でもない、少ない彼の言葉の中から私もこの人の事を理解しようとしているつもりだったのに……
思ったよりも自分は匡介さんの事をまだよく分かっていなかったのかもしれない。
「確かに俺は口下手で気の利いた事が言えるわけでもない、だが……杏凛はもっと俺の言葉を真っ直ぐに受け取ってくれないか?」
「真っ直ぐ……ですか?」