桃色溺愛婚 〜強面御曹司は強情妻を溺愛し過ぎて止まらない〜
匡介さんの言葉を真っ直ぐに、分かるような少し意味が分からないような。自分では彼の言葉をきちんと受け取っているつもりだったから。
だけど、そう言われてみればいつも私は匡介さんの言葉の裏を探ろうとしていたのかもしれない。彼が本当はどう思っているのか、考えるととても不安で……
「そうだ、俺は思ったままの事しか口に出来ない。君の夫はそんな男なんだから、あまり深く考え込まなくていい」
「そんな男って……貴方は真面目な顔で、ふ……ふふっ」
匡介さんが真剣な表情でそんな事を言ってくるから、思わず笑いが込み上げてくる。きっと些細な私の表情の変化にもこの人は気付いていたのだろう。
本当に色んな意味で過保護な旦那様なんだわ、匡介さんは。
「何故笑う? 俺は何か杏凛を笑わせるような事を言ったのか?」
私をこんな気持ちにさせているのに、当の本人は全くその事に気付いていないのだからおかしな話だと思う。
ほわほわ暖かくてふわふわ柔らかい、そんな気持ち良さで胸いっぱいにしてくれる……
「ええ、言いました。匡介さんが私を笑わせたんですよ、そんな真面目な顔で」
「顔? 俺の顔が問題なのか……? まあいい、杏凛がそうやって微笑んでくれるのならこんな顔でも悪くないな」
……その言い方は狡いと思う。今の言葉で何も感じない方が無理がある。私は思わず片方の手で胸を押さえた、そうしなければならない気がして。