魔法の恋の行方・魔女の告白(シリーズ4・バージルとレティシア)
<本屋の店先・17時15分>

「それではバージル先生、
失礼します。
また、何かあればお手伝いをしますから、
お声をかけてくださいね」
マリエはレティの前にしゃがんだ。

「今度はクッキークリームと、
いちご味がいいわね。
また、行きましょうね」

レティもちょっと嬉し気に、
うなずいた。
マリエは手を振って、立ち去った。

「マリエとは趣味が合う。
料理もいろいろ知っているし、
この街の食べる所には詳しいからな」

マリエを見送ったレティは、
バージルを見上げた。
「アイスクリームをあと5個は食べるぞ」

「わかった、どこの店だ?」
魔女との契約を守らねばならない。

バージルはため息をついた。

それに気が付いて、レティは哲学者のように言った。

「お前のように本ばかり読んでいると、人生の楽しさを知る機会が、
少なくなると思わないか?

「パンとサーカスか・・」
バージルはつぶやいた。

古代ローマ帝国の愚民政策。
ここで、魔女に言われるとは・・・

「ラムレーズンを発明した奴は、
歴史的な偉業をなしたといえるだろう。
そう、思わないか?バージル?」

同意を求められても、
困るのだが・・・・

だが、
レティのアイスクリームを食べている時の、満面の笑みを見ていると

この魔女と一緒にいる時間を、
楽しいと感じている自分に気が付いた。
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