碧天の下で、純白の球、夏に泣く。


「‥違うか。」



分からなくても、投げるんだ。


「ストライク!」




あぁ、もうこれで何回目だよ。
縫い目にうまく指がかかってくれない。

さっきからストライクゾーンスレスレだ。



_「斗蒼、少し浮いてるぞ!ちょっと落とせ!」
「あぁ、わかった!」_




サインで保田と会話する。



「ふーっ。」


深呼吸。


大丈夫、できる。




俺は、やれる。




「去年からますますエグくなってね、日向。」

「この雨で、
なんであんだけの玉が投げられるんだ‥?」







これまで、どれだけ練習したか覚えている。

雨で滑って、今、うまく出来なくても、
体が、覚えるまで投げ込んだから。






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