彼と彼女の取り違えられた人生と結婚

「愛してます…俺の事、受け入れて下さい…」

 言葉と同時に、グイッと履いてくる柊を感じた樹里はそれと一緒に激しい痛みも感じてギュッと柊の背中に爪を立ててきた。


 痛い! …そう言葉にしたくても出来なくて、樹里はギュッと奥歯を噛みしめた。

 狭いトンネルの中を進んで行く柊は、ギュッと樹里を抱きしめた。


「樹里さんの中、とても温かいですね。…嬉しいです…樹里さんと繋がれて…」

 痛みをこらえていた樹里だが、柊の言葉に力が緩んでいった。
 ギュッと閉まっていたトンネルが広がって行き、どんどん樹里の中へ進んでゆく柊は、温かく柔らかい雲の上のような感覚を感じながら進んでいた。


 グイッと! 力強い柊を感じた樹里は、激しい痛みがだんだんと快楽に変わってゆくのを感じていた。

 
 愛しています…
 その言葉の通り、奥までたどり着いた柊からは情熱的な想いが体の奥まで伝わってきて、何かが解放されてゆくのを樹里は感じた。


「樹里さん…気持ちいいです。…初めてなんです…誰かと繋がれたの…」

 うっすらと目を開けて樹里は柊を見つめた。

「ずっと誰にも反応しなくて…正直、結婚相手に逃げられたのは俺のせいだとずっと責めていました。…でも、樹里さんとこうして繋がれて嬉しいです…」
「私も…嬉しいです…」

 見つめている樹里の目が潤んできた。
 その目を見ると、柊の目も潤んで来た。 

「俺が、一生かけて樹里さんを幸せにします。今まで、樹里さんが辛い思いをした以上に幸せにしますから…」

 樹里はゆっくり頷いた。

 額と額をくっつけて、お互いに目と目が合うとそっと微笑みあった。


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