彼と彼女の取り違えられた人生と結婚

「少し、時間が必要だね。きっと、樹里ちゃんが聞かされていた事は。ジュリーヌさんが話した事とは、違っていたと思うから」

 優しく樹里の肩に手を置いた宇宙。

 なんとなく、その手のぬくもりを感じると樹里はホッとした気持ちになれた。
 
「ちょっと、この話は少し置いておこう。でも、こうして会えたんだから樹里ちゃんもジュリーヌさんも。会いたいときに、会えばいいよ。僕に遠慮することはないから」

 複雑な気持ちのまま、樹里は返事をしないまま黙っていた。

「そうだ。もう夕食の時間だから、ここで一緒にご飯にしよう。柊にも連絡するからさっ」

 言いながら携帯電話を手に取った宇宙。



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