彼と彼女の取り違えられた人生と結婚
宇宙はジュリーヌと一緒にマンションへ戻る事にした。
連絡を受けて、少しだけ柊の着替えは持って来ていた。
今は病院着を着せられている柊。
麻酔でぐっすり眠っている柊は、刺されて痛い思いをしているわりには穏やかな顔をして眠っている。
樹里は柊のベッドの傍で椅子に座り一息ついた。
(私の血を使って下さい…)
そう言ってきたジュリーヌに、樹里は驚きを隠せなかった。
自分とは親子ではないから、血液型が同じではなくても納得できるが、柊とジュリーヌが同じ血液型だとは、どこか疑問を感じる。
偶然同じなのかもしれない…血液型なんて、限られた種類しかないのだから同じ血液型の人がいても不思議ではない。
だが…。
ジュリーヌと柊を比べると、どこか似ているような気がする。
顔立ちは違うような気がするが、肌の色や艶、話す口調や声質、そして…
同じ赤い瞳をしている事がとても引っかかっていた。
赤い瞳の人に会ったのは初めてだ。
初めて柊に会った時から樹里は、普通の人とは違う感覚を受けていた。
見かけによらず穏やかで丁寧な口調。
色白の人よりも随分と白い肌。
親子ではないにしても父親である宇宙にも、敬語で話している姿はどこかの皇子様のような気品を感じる。
(反応したのは樹里さんが初めてです)
と言った柊。
今まで女性に反応したことがないと言っていた。
結婚する予定だった人にも反応しなかったと…。
なにか特殊な人なのだろうか?
そんな事を考えているうちに、樹里はウトウトと眠りについてしまった。