彼と彼女の取り違えられた人生と結婚

 有希にはお金しか見えなくなっていた。
 しかし、お金を得ても心が潤うことはなく、複数の男と関係を持つ事で体の欲だけは満たしていた。
 柊に出会ってから、お金持ちの柊といれば一生お金には困らない、宗田の男子は柊だけ故に資産も全て自分のものになると有希は考えた。
 会社も業績が伸び続け年商1000憶以上と言われる、宗田ホールディングの社長夫人になれれば誰にもバカにされる事もないと思って柊を絶対に離さないと決めていた。

 だが柊は、有希と交際していても指一本触れようとしなかった。
 有希が誘っても「そうゆう事は結婚してからしましょう」と、今どきの若者とは思えない事を言われて半分呆れたと共に自分に魅力がないのかとショックを受けた有希は、柊が相手をしてくれない憂さ晴らしをホストクラブに通って晴らしていた。
 枕営業をしてくれる若いホストに体を満たしてもらって、心は柊からお金で満たしてもらう…それでいいと思っていたが。
 いざ結婚が決まると、何故か満足できな自分がいる事に気づき大金を横領して逃亡を企んだが、既に横領で被害届を出されていた事から有希は出国できなかった。
 横領したお金でホストとワンナイトを楽しみ、お金に困っているホストの家に転がり込み住まわせてもらっていた。


 ある日。
 偶然にもホストクラブに来ていた大紀に出会った有希は、なんとなく大紀と意気投合した。
 大紀が上野坂財閥の息子と知り、大金を優から騙し取る作戦を大紀と計画した。
 しかし大紀は有希の事があまり好きではなく、一人で暴走してしまった。

 そんな大紀を無視して有希は計画通り、優に大金をもらいに来たが逮捕されてしまった始末である。


 取り調べには素直に答える部分と、黙秘する部分があるが、事の経緯は充分話してくれている。
 横領したお金はもう全くなくなっていて、返金するにも有希の家族は失踪して行くへ不明の為、誰も支払うことができない。
 
 宗田ホールディングは、有希への告訴を取り下げる事はしないと言っている。

 だが…。

 
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