取引きは恋愛関係の始まり
「残念だが、どちらも違う」

タナトスはそう言った後、冷たく笑う。その笑い声に何があったのか想像し、体に寒気が走る。

「CIAの犬がまた組織の中に紛れ込んでいた。ボスに話して先ほど処分が終わったところだ」

「そうですか……」

声では何もないように振る舞っているけど、体は正直で尋常でないほど冷や汗をかいている。小刻みに手足が震え、呼吸が乱れてしまわないか心配になった。

CIAからこの組織に潜入しているのは私だけじゃない。何人かが私と同じようにスパイとして潜入させられている。噂ではFBIの人間もいるらしいけど……。

スパイだとバレてしまったら、タナトスをはじめとする幹部が組織のトップであるボスに話してスパイを殺す。どうやって始末されるかなんて噂程度でしか聞いたことがないけど、吐き気がする内容だ。なので話すのはやめておく。

絶対にスパイだとバレてはいけない。バレたら百パーセント殺される。そんなこと、あってはならない!
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