冷徹弁護士は奥手な彼女を甘く激しく愛し倒す


筧さんをボロボロに言いながらも、岩倉さんの指先は私に触れたままだ。

私が一歩前に出ればいいのだけれど、岩倉さんを拒否するようでそれはしたくない。
なので、岩倉さんから離れてくれるのを待つ。

でも、岩倉さんは離れるどころか、私の肩を掴むとそのまま自分の方に引き寄せた。
背中が完全に岩倉さんの胸板に密着して肩が跳ねる。

ブラウスはボタンをしていない。だから、両手で生地を握って前を閉じていたのだけど、その手に岩倉さんが上から触れる。

そのまま手を解かれるとブラウスの前が開き、慌てて岩倉さんの手を掴んだ。

「あの、岩倉さん……?」
「それで、どんな下着を買ってきたんだ。見せてみろ」
「え、嫌です」
「いつも見てるだろ」
「だとしても、今日は困るんです。本当に……岩倉さんっ」

今日は困る。
だって、今日、私は岩倉さんへの恋心を認識したばかりだし、その上でこんな似合っているのかもわからない下着姿を見られるなんて拷問に近い。

たしかに今まで散々そういうことはしてきたし、恥ずかしがるのを今更だと言う岩倉さんの意見は正しい。

だとしても、引き下がれない感情が私にもできてしまった。
自分の気持ちに気付いた以上、今までどおりなんて無理だ。

……でも。

脱がせようとしてくる岩倉さんを必死に止めようとしたけれど、当然ながら力では敵わない。
抵抗むなしくブラウスをはぎとられる。

岩倉さんは私をくるりと反転させると、それぞれの手を顔の横の高さで押さえた。

されるがままだ。
ピン止めされる蝶々の気持ちがわかった気がした。

< 113 / 184 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop