冷徹弁護士は奥手な彼女を甘く激しく愛し倒す
「それは、岩倉さんと私だと置き換えて考えればいいですか?」
静かに聞いた私に、佐鳥さんが笑う。
「あれ。バレちゃった? ごめんね」
「いえ。佐鳥さんが私を怪しむのは、当然ですから」
私自身、好かれる理由なんて見つけられないのだから、よく思われていなくても当たり前だ。
岩倉さんはなぜだかそれでも好きだと言ってくれるけれど、岩倉さんがきっと特殊なんだろう。
だから、佐鳥さんが私を警戒するのも無理はない……と言った私に、佐鳥さんは驚いた顔で「あ、それは勘違いだよ」と言う。
「俺は桜ちゃんが嫌いだから追い出そうっていう考えで言ってるわけじゃないよ。まぁ、意地悪に聞こえるかもしれないけど、そのつもりもない。いずれ桜ちゃんがぶちあたるであろう壁をあらかじめ提示してるだけにすぎないから、むしろ俺の親切心」
「親切心……」と呟くと、佐鳥さんは視線を左上に向け「んー」と悩ましい声でうなる。
「いや、桜ちゃんへの親切心っていうよりは、岩倉に対してなのかな。だってさ、今まで見たこともないくらい大事にしてそばに置いてるくせに、対策が甘いっていうか、肝心なところそのままで行こうとしてるから心配でさ」
「対策、ですか?」
「うん。岩倉にも言ったんだよ。桜ちゃんみたいな子は、おまえといてもいずれツラくなるだけだって。だから、根っこの部分をもっとしっかりさせてやるか、それが無理なら自分に自信しかないバカみたいに気の強い女にしとけよって。なのにあいつ、聞く耳持たずなんだもん」
眉を下げて口を尖らせる佐鳥さんに、少し考えてから口を開く。