飴色溺愛婚 ~大胆不敵な御曹司は訳ありお嬢様に愛を教え込む~
「じゃあ、行ってくるよ。今日は遅くなりそうだから夕食は準備しなくていい」
櫂さんはそう言うといつも通り私からのキスを待っている。彼に口付けるのが嫌なわけではないけれど、どうしても胸の中は複雑な気持ちでいっぱいだった。
このキスにはどんな意味があるのか、櫂さんは本当に私からの触れ合いを望んでいるのかと。そんな思いを抑え込んでいつもと変わらない口付けを交わす。
「行ってらっしゃい、私も今日はお出かけすることにします」
笑顔で手を振って、櫂さんを見送りを済ませるとキッチンへと戻って朝食の後片付けをする。
異母姉の百々菜とのやり取りから一週間が過ぎた。あれから彼女からの連絡は一切ない、もう気は済んだということなんでしょうけれど……
「梓乃は大丈夫かしら?」
異母姉は妹の梓乃の事も生意気だと話していた、一緒に暮らしている彼女に何か嫌がらせをしてないかと心配な気持ちになる。
梓乃からメッセージは送られてくるが、百々菜についてはなにも書かれていない。梓乃がそう言う性格だとは分かっているけれど、それでも気にはなってしまう。
片付けを終わらせソファーに腰を下ろすと、スマホの画面をタップしてメッセージアプリを開く。梓乃に今日少しだけ会えないかといった内容を送ってみた。
すぐに「いいわよ」と短い返事が来たので、都合の良い時間を確認し二人でランチをすることになった。