飴色溺愛婚 ~大胆不敵な御曹司は訳ありお嬢様に愛を教え込む~
梓乃の話を聞いてしばらくした後、彼女は高宮さんの用意した迎えの車に乗って帰っていった。ついでなのだから送っていくと言う梓乃に、少し一人で考えたいからと言って一人で帰路についた。
少し悩んだ後に話してくれた梓乃の言葉で、私は櫂さんと父の奇妙な繋がりをすぐに思い浮かべた。私に隠れるようにして二人は連絡を取り合い、そうして何かをしようとしているに違いない。
櫂さんを問い詰めれば素直に話してくれるかしら? そう考えた後で、すぐにそんなことは無いと思い直した。私は所詮期間限定の契約妻にすぎない、もしかしたら櫂さんにとって私は父との繋がりを持つのに丁度良い存在だっただけなのかもしれない。
「ふ、ふふ……私ばかりが浮かれてたのかも。ちょっと優しくされたからって、簡単に懐いて」
ずっと二階堂の屋敷で孤独に過ごして優しさに飢えていたのは事実で、櫂さんの温かさにすぐに心を許してしまった。
彼の事を全く疑わなかった訳じゃない、でもその優しさに触れてしまうともっともっとと貪欲になってしまって……
いつか……私たちの契約期間が終われば、この夢のような生活も幻のように消えてしまうのだと分かっていたはずなのに。どこかで櫂さんが、私をずっと傍においてくれるんじゃないかと期待してしまっていたのかもしれない。
「……胸が、痛い。痛くて……苦しい」
いつの間にか欲張りになった自分が恥ずかしい。勝手に彼に期待して、そうして裏切られたような気分になっているなんて。
なんとも言えない感情が胸の中で渦巻いて、気持ちが悪くなってしまいそうだった。