飴色溺愛婚 ~大胆不敵な御曹司は訳ありお嬢様に愛を教え込む~
「随分生意気な口を利くようになったな、二階堂の恥が。まあいい、無駄話をする気はない。いいか千夏、新河 櫂に取り入って奴の会社のある機密情報を聞き出してこい」
「櫂さんの会社の機密情報って、何故そんなことを?」
「そんなことは、お前が知る必要などない」
父の会社の事を櫂さんは独自に調べているが、一度だって私の存在を利用しようとしたことなどない。それなのに、父はこんな時だけ私をうまく利用しようとする。
しかもきっと、櫂さんにとって不都合な情報を引き出そうとしているに違いない。そう思うと怒りで腸が煮えるように熱くなるのを感じた。
「嫌だと、言ったらどうします?」
「このまま、二階堂の屋敷から帰れなくなってもいいのならばそう答えるといい。今度は個人の部屋ではなく、屋敷の地下の物置ででも暮らさせてやろうか?」
最低だ、この男は。言うことを聞かなければ新河の家には帰さないと脅してくるなんて。元からそのつもりだったから、私をわざわざこの家に呼んだのだろう。のこのこと言われるままに、ここに来てしまった私が考えなしだった。
「お前が帰ってこなければ、新河 櫂も寂しがるかもしれないな。その時はお前の姉の百々菜をあの男の元に、向かわせるのも良いだろう」
「……何について、聞きだせばいいの? 言われた通りにしますから」
結局、私は父の言いなりのままでしかいられないらしい。都合よく使われ利用されるだけの、存在でしか……それが苦しくてじわりと涙が滲んだ。


