飴色溺愛婚 ~大胆不敵な御曹司は訳ありお嬢様に愛を教え込む~
「相変わらず可愛げのない娘だ、あんな卑しい女に育てられたのだから無理はないな」
「……」
この屋敷の主人という立場を使い、当時の使用人だった母に手を出しておいてよく言うわよ。母の妊娠が分かった途端、世間体の為に屋敷から追い出したのを私が知らないとでも思っているの?
実家にも頼れず、一人で必死に育ててくれた母をそんな風に言う父が許せなかった。力いっぱいこぶしを握ってその怒りに耐える。
「あの女が死んだあと、私がお前を引き取り育てた。そんなお前は私に恩を感じている、そうだろう?」
「……私に、何をしろと?」
そんな恩着せがましい事を言われる筋合いはないわ、引き取ってくれなんて誰も頼んでいない。施設に入ることになった私を、無理矢理この屋敷に連れてきて閉じ込めたのは貴方じゃないの。
そんなことに、恩を感じろと? 冗談じゃないわ! しかもこの言いまわし方は、私に何かをやらせようとする時だと経験上分かってる。
「恥知らずな女の娘のお前が、私の力になれるだけ有難いと思うべきだろう」
「要件をおっしゃってくださらないのなら、私はこれで帰らせて頂きますけど?」
いつもなら「はい、分かりました」と頭を下げただろう。でも櫂さんと暮らすうちに私は自我というものを持った。自分の意見と意思は、我慢して隠してなくてもいいんだって教えてもらった。だから……