飴色溺愛婚 ~大胆不敵な御曹司は訳ありお嬢様に愛を教え込む~
「綺麗だよ、千夏は。他の女なんて比べ物にならない。早く自分だけのものにしたくて、俺がどれだけあちこちに手を回したと思う?」
ギュウっと抱きしめられて、どれだけ櫂さんの体温が高いのかを知る。慰めなんかじゃない、本気の言葉に私の心臓が痛いほど音を立てている。
これが櫂さんの腕の中、そしてこの人の温もり……櫂さんから香るシャンプーの匂いは私と同じで余計に自分たちが夫婦であるという事を意識させられる。
「手をまわしたって……私はそんなこと聞いてないもの」
「ああ、そうだろうな。あのタヌキジジイは千夏の存在を隠してるし、簡単に結婚したいと言っても無駄だったんだ。それでまあ色々と、な?」
櫂さんに言い方だと私に言えないような事もしたんじゃないかと思ってしまう。それで彼に迷惑をかけていたら申し訳ないとも。
「そうね、お父様やお兄様……そしてお姉様もこの結婚には賛成してなかったわ。でもそれは櫂さんに非があってのことではなくて……」
むしろ問題なのは、愛人の子である私の方だったはず。櫂さんにならいくらでももっと良家のお嬢様を選ぶことが出来たはずなのだから。
「千夏は悪くない、千夏は誰からも咎められるようなことはしてないはずだ。俺の妻には誰よりも君が相応しい」
「櫂さん……」