【完】素直になれない君と二度目の溺愛ウェディング

まだブツブツと独り言を言っていたようだが、心がホッと温かくなる瞬間がある。
この人と一緒に居るとふと懐かしい気持ちになる。
きっとレナと桜栄社長の本質的な部分がそっくりだからだと思う。

「…真子さんから聞いた。 何でも君達は今度旅行に行く計画を立てているとか」

「あ、そうなんです。レナちゃんが紅葉が好きだというから、どこか一泊でも温泉旅行にでもと…
もしよろしかったらお父様もご一緒にどうですか?」

「君に’お父様’などと呼ばれる筋合いはない…!
それに、婚前前の男女が二人で旅行などとふしだらだ!」

と、ここで話は冒頭に戻る。
何と、桜栄社長から妻の真子さんと一緒に行く箱根の別荘旅行に誘われたのである。

箱根に別荘を持っている事自体次元の違う話ではあるが、まさか社長自ら俺を旅行に誘ってくれるとは青天の霹靂である。

そして彼はまた目尻を垂れ下げながらレナとルナちゃんと幼い頃に行った旅行について楽しそうに話すのであった。  俺は、彼の口から出る幼い頃のレナの話が好きだった。

形は違えど、彼も俺もレナちゃんを大切な宝物に思っているからなのだろう。 そうして箱根への一泊旅行は決定してしまった。

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