【完】素直になれない君と二度目の溺愛ウェディング

「君は私の舎弟か……。
まあ、いい。 阿久津社長とも今後の事はよく話をさせてもらった。
いずれはチェリーチョコレートカンパニーを継いでは貰いたいが、私もまだまだ元気で現役だ。
一旦君の事は阿久津社長に託す事にした。 君も今の仕事にやり甲斐を感じていると言っていた。 それに阿久津社長はまだまだ君と一緒に仕事がしたいそうだ。
と、いう訳でチェリーチョコレートカンパニーに入社するまで、阿久津フーズファクトリーで修行を積みたまえ」

「ありがとうございます!!」

威勢の良い海の声がリビング中に響き渡る。 父は海を一瞥した後、私の方へゆっくりと視線を移した。

眉を垂れ下げて少し照れくさそうに微笑む父は、穏やかな顔をしていたと思う。

ここ最近ずっと父のこんな顔を見ていなかった気がする。 いや、それは私が見ようとしなかったからだ。

小さな頃からルナと共に父の大きな背中に守られて生きて来た。 小さな私達の手を包み込んで、ゆっくりと歩いてくれた。

誰よりも私達姉妹の事を考えてくれた父。 その父の笑顔を見て、目の縁がじんわりと熱くなっていく。
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