愛の距離がハカレナイ
「そうすることで、自分の気持ちがもっと自覚できるようになるかもしれないよ。そしてその方が周りの人間にもいい影響を与えると思うよ。ねっ、香澄。」

香澄は神妙に篤志さんの顔を伺った後、私の方を向いた。

「阿里、私…、赤ちゃんが出来たみたいなの。」

篤志さんの満面の笑み。

「えっ…、えっ…?」

思いがけない香澄の言葉に、私は何度か篤志さんと香澄の顔を何度か行き来した。

「おめでとう!香澄!」

次の瞬間、私はそう叫んでいた。

「これでもずっと報告を我慢していたんだからね。阿里にはすぐにでも伝えたかったんだから。」

私のここ最近の様子はこんなに香澄に心配をさせていたのか。

ここで私ははっと我に返る。

「まあ、そういう事で武田さんにもいつもの武田さんに戻ってもらわないと困るんだ。」

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