愛の距離がハカレナイ
15
「阿里?」

スマホの向こうで愛しい声がする。

「祐介?」

咄嗟にそんな言葉しか出なかった。

「うん?どうした?」

祐介の声が私の中の何かを溶かす。

「阿里?」

「私から連絡したのに、ごめん。言葉が出て来なくて…。」

「どうして阿里が謝るの?俺は阿里から俺の名前が聞けてすごく嬉しい。このまま切っても後悔しない。」

「何言っているのよ!」

私は思わず大きな声を出してしまった。

「やっと阿里らしい声が聞けたな。」

スマホの向こうで祐介が微笑む姿が目に浮かぶ。

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