愛の距離がハカレナイ
心なしか香澄の目がウルウルしているような気がする。

「どうしたのよ、香澄ったら。」

「うん、妊娠してから少し涙もろくなってしまってね。」

でも香澄からは幸せがあふれ出している。

「とにかく今日はしっかりお腹を満たして来るわ。」

私がそう言った途端、南川課長の声が飛んだ。

「武田さん、出掛ける準備は出来ている?直帰の予定だからよろしくね。」

「はっ…、はい!」

私は声の方を振り返りながら、返事をする。

「資料を取りに行ってから、そのまま駐車場へ向かいますので、先にお願いします。」

「了解。」

南川課長が出て行った後、私に近づいてきたのは内田さん。

「武田さんはよくあんな大変な南川課長と組めますね。」
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