愛の距離がハカレナイ
退職を申し出た私に会社側がベトナム転勤を提案してくれた。

それは南川課長と始めた営業補佐という仕事がかなり高く評価されての事だった。

この経験をベトナムで祐介と組んでやっていく方向に話が進んだのだ。

そして、それを強く推してくれたのは南川課長だった。

どうもあの日、南川課長は私達の様子を目の当たりにして、本来の自分を取り戻したようだ。

そして私の後任には、あの内田さんが推薦されたのだ。

この数か月の引継ぎ中、私は何度ひやひやとさせられた事か。

2人の間に入って、仕事をする事がこんなに大変な事だとは思わなかった。

「南川課長、おっしゃっている意味が分かりません。」

内田さんがこんな風にけんか腰で言葉を投げかける。

するとチラリと南川課長が私の顔を見る。

「武田さんなら、これだけの指示で全て理解してくれていたんだがな。」

こういうセリフを嫌味いっぱいで言わせたら、南川課長は天下一品だ。

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