愛の距離がハカレナイ
そうつぶやいた祐介はスッと立ち上がった。

「今晩、阿里の家に行くから。」

それだけ言うと、祐介は振り返る事もなく行ってしまった。

南川課長に聞いたところによると、祐介の異動は来月早々らしい。

そんな大切な事すら、私は直接知らされてはいない。

「…そろそろちゃんとした別れ話をされるのかな…。」

なんてあっけない恋人時間だったんだろう。

ずっとそばに居るから、結局その慣れがお互いの甘えとして出てしまったんだろうか。

香澄ですらもう私に祐介の事は聞かない。

こんな事ならずっと同期のままの方が楽だったかも。

つい祐介に投げかけた言葉を思い起こした。

若い頃と同じことを繰りかえしてしまう。

仕事が理由でフラれてしまう事はしっかり自覚している。

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