愛の距離がハカレナイ
「進歩ないな。」

私は残っているおかずを食べながら、もやもやしたものを振り払えない。

午後からの仕事は珍しく外回りはなく、事務仕事に専念する。

南川課長が講習会に出掛けたからだ。

自分のやりくり次第では、残業なしで帰れる状況だ。

「こんな日に限って…。」

私は思わずため息を吐く。

家に帰りたくない想いが沸々と湧いてくる。

「阿里がずっと座っている姿、久しぶりね。」

するすると香澄が寄って来た。

「うん。ちょっと外出が続いていたからね。」

「南川課長とはどう?」

「やっと南川課長のやり方に慣れて来たかな。でもまだまだね。」

香澄とこうやって言葉を交わすだけで、気持ちが軽くなる。

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