ロミオは、愛を奏でる。

「イト、眠そーだね」



眠いんじゃなくて

リョーちゃんが

イトの彼氏のこと聞きたがるから嫌だった



「うん、ちょっとね…」



嘘をついた



「じゃあ、オレそろそろ部屋戻るわ」



リョーちゃん行っちゃう



「明日、リョーちゃん何時に家出るの?」



行かないでよ

リョーちゃん



「朝早く出るから、見送らなくていいよ」



じゃあ、コレでバイバイ?


そんなのヤダな…



「そっか…
みんな、いなくなっちゃう」



「イト、寂しいの?」



「んー…
お兄ちゃんいたらいたでウザい!って
思ったりした時もあったけどね…」



ホントはお兄ちゃんはどーでもよくて

リョーちゃんがまた遠くに行くのが寂しかった



お兄ちゃんは

隣の駅の近くに珠莉ちゃんと住む


行こうと思えばいつでも行ける距離


部屋にもまだ荷物あるし

きっとちょくちょく帰ってくる



リョーちゃんは

リョーちゃんが今いるところは

ここからどれくらいかかるの?



イト、ひとりで行けるかな?



「イト、おいで…」



え…

イトが考えてること

リョーちゃんに伝わった?



「寂しんだろ…」



「うん…」



リョーちゃんがヒザの上を指さした



え…



リョーちゃんのヒザの上

イトの特等席



ドキン…



リョーちゃん

覚えてた?



「え…、リョーちゃん…」



リョーちゃんが今住んでるところへは

すぐには行けないけど…


目の前にいるリョーちゃんのヒザの上なら

すぐ行ける



急に胸の音が早くなった



「なんて…冗談だけどね」



なんだ…

だよね


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