ロミオは、愛を奏でる。
でも…
「冗談でも、いいよ…
リョーちゃんのヒザの上、座りたい」
「え…イト?…冗談?」
「ホントに…」
今度はリョーちゃんが戸惑ったけど
リョーちゃんはイトをヒザにのせてくれた
リョーちゃんの体温
リョーちゃんの匂い
借りたジャケットに包まれた時より
ドキドキした
「リョーちゃん、懐かしいね」
懐かしいけど
子供の時とは全然違って
すごく緊張した
「もぉ子供じゃないんだから!って
イト、怒ると思ったのに…」
リョーちゃんが笑った
首にリョーちゃんの吐息がかかった
ドキドキ…
ドキドキ…
大人になりたいけど
リョーちゃんのヒザの上は
いつまでもイトの特等席であってほしい
「次に会う時は
イトの結婚式だったりして…
そしたら、オレ泣くわ」
え…
ズキン…
リョーちゃん
なんでそんなこと言うの?
冗談でもそんなこと言わないでほしい
「そんなわけ、ないよ…
…
そしたら何年後?
またずっとリョーちゃん帰って来ないの?」
「んー…ヤバイな
オレ、ジジイになってるかも…」
「リョーちゃんは
いつまでもカッコいいよ!」
「そんなことないだろ
…
イトは、
意外とキャリアウーマンになってるかもな…」
「意外と…って失礼だね、リョーちゃん」
「失礼だった?
じゃあ、きっとキャリアウーマン!
まぁ、それまで学生生活楽しめよ
就職したらいろいろ大変だからさ…」
「うん…」
リョーちゃんのヒザの上で
また少し寂しくなった
リョーちゃん
イトの特等席覚えてたけど
20歳の約束は覚えてる?
イトがあの時
リョーちゃんを好きだって言ったこと
冗談だと思ってる?