また君と恋する
「とにかく家が近くて残れそうな奴だけ残って、後は先に帰って」

団長が仕切った。

ドキドキさせられた鼓動を落ち着かせて、残りの作業に取りかかる。

そういえば戻ってきた応援団の中に有馬さんの姿がなく、どうやら練習の前に帰ってしまったらしい。

ペンキをこぼしたのはやっぱり有馬さんで、結大君に夢中で蹴り倒してしまったようでみんなから責められたと聞いた。

有馬さんのことを考えると、逃げ出したくなる気持ちも分かる気がする。


「できたっ!」

筆を置いて、石原先輩が完成を知らせた。

「おお! すげー!」

残っていた団長や応援団の人達が集まってきて、パチパチと拍手が起こる。
< 216 / 475 >

この作品をシェア

pagetop