また君と恋する
「わー! 楽しそう。行きたい!」

栞ちゃんが乗ってくれて、夏休みの話で大盛り上がり。

海、プール、キャンプ、花火大会、アスレチック、水族館。

やりたいこと、行きたい場所を挙げればキリがない。


そんな楽しみを思い描く、夏の始まり。


「あら、湊君。これから塾?」

階段を下りてきた湊君に、お婆ちゃんが声をかける。

湊君はこちらをチラッと見て「うん」とだけ答えると、さっさと家を出てしまった。

志希の弟の湊君は、今年中学3年生。

中高一貫校で内部進学するから受験はしないって志希は言ってたけど、家では部屋にこもってずっと勉強をしているみたい。

それに、学校ではバスケ部に入っているらしく、これがかなりの強豪校で練習量も多いと聞いた。

学校で部活をして、塾へ行って、帰ってきても部屋にこもって勉強。

そのせいか、実はあまり湊君と言葉を交わしたことがない。
< 337 / 475 >

この作品をシェア

pagetop