同期はまさかの御曹司?☆ 番外編完結
私たちが経理へ戻るとみんなが机の下やゴミ箱を探し回っていた。

他社から回ってきた領収書を経理で預かっていたらしいのだが紛失した、と。
しかも今日振り込みが必要だそうでみんな慌てている。
名義を聞き私たちも机の間に落ちてないか、書類の間に挟まっていないか、と床を這うように探し回った。

そんな中瀬名さんの声が聞こえてきた。

「私じゃないです。そんなの知りません。」

「あなたに営業が渡したと言ってるわ。よく考えてみて。どこかにおいた覚えはない?」
と、優しく金子さんは聞くが

「だから、知らないって言ってるじゃないですか!っていうか金子さんしつこくないですか?」

経理のみんなは唖然とする…
みんなここまでして探しているのに自分は探しもしない。
営業は彼女に渡し、彼女は「わかりましたぁ。」と受け取ったという。
金子さんは決して瀬名さんを責めているわけではなく、まだ新人だからミスもするだろうと優しく聞き出してくれているのが私にだってわかる。なのに先輩にしつこいと言える瀬名さん。
誰ももう口を聞くことなく無言で探し始める。
 
「あったぞ!」
とシュレッダーをひっくり返していた先輩が見つけた。

慌てて処理に回し決裁してもらう。
 
部署全員安堵の表情を浮かべた。
私はゴミやそこら辺に散乱してしまったシュレッダーなど、分別し始めた。
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