花筏に沈む恋とぬいぐるみ



 「では、相談というのは……」
 「はい。私が父親の事で気が滅入っている時に助けてくれた人達なのですが……」


 花は、雅の四十九日の奇について詳しく説明した。人間の体に入ってしまった事。そして、その人物は父親と同じようにテディベアに宿っているという事を。
 すると、一堂は驚きながらも頷き、話しを聞いてくれていた。


 「偶然とはいえ、同じようにテディベアに魂が入った方と会うとはすごいですね。しかも、その方は生きているなんて……」
 「はい………。ですが、四十九日の奇では魂が入ったものを焼かなくてはいけないので、どうしていいかわからなくて……」
 「なるほど……じゃあ、乙瀬さんの鞄の中から感じる不思議なものは、生きている魂ってことですね」
 「え………えっ!?」



 花は驚いて横に置いてあった大きめのバックを見つめた。店からの帰りだったため、レース編みの道具が入っているために大判のバックを使っていたのだ。
 それのバックの中を見ると、そこからあの少し歪つな顔のテディベアが顔を出した。もちろん、凛だ。レース編みの道具を全て出していつの間にかバックの中に忍び込んでいたようだった。驚いて声も出ない花をよそに、凛は「よぉ」と手を挙げて得意気な声を上げたのだった。


 
 
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